エプソンが考えるインクルーシブな障がい者活躍、そのための一歩とは

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2024年12月、エプソングループの約40人が一堂に会し、「障がい者活躍」にどう取り組んでいくか、活発に意見が交わされました。

エプソン初【障がい者活躍ワークショップ】

合理的配慮をテーマに講演する高橋さん

エプソンは、役員をはじめ人事・総務部門の管理職や特例子会社のスタッフなど、エプソンの障がい者活躍を推進するキーマンを集めたワークショップを開催。

2023年11月に開催されたナナイロ会議を参考に、グループホーム「ここっち」の運営者であり、自身が発達障がいであることを公表している山口政佳さん、信州大学教育学部教授で臨床心理学や教育心理学を専門とする高橋知音さんが外部講師として招かれました。

山口さんは、「利益を追求する企業で、失敗が許されない中、障がいのある方が価値を生み出すまで働けるのか?」と課題提起。当事者と経営者の両立場での飾らない言葉に、参加者は熱心に耳を傾け、共感を深めました。

自身がうつ病の発症を機にADHDと診断された経験を語り、「生きづらさに名前がついたことに安堵した。一方で、これまで差別の目で見ていた障がい者に自身がなったことに傷つきもした。しかし今は自分と向き合い「得意なことはできます。でも苦手なことは『ごめんなさい』と素直にいえるようになった」と述懐。

高橋さんは、障がいのある方のみならず誰もが働きやすい環境を整えることが、すべての人のパフォーマンスを最大化し、ひいては企業価値向上につながると解説。

人材不足が進む未来において、多様な人々を受け入れ共存する職場づくりこそ、その解決策となることも強調しました。

グループワークでは、「社内で日頃直面している、職場マネジメントの課題や当事者と職場支援のバランスに関する疑問」を起点に、「当事者だけではなく職場にとっての障壁」や「合理的配慮」について議論。

参加者からは、「まず障がい者活躍を推進するための土壌を作ることが大切」「本人との対話を通して互いに知ろうとすることが重要と理解した」「バイアスを持たずに、自身ができることについて考え行動したい」など具体的な意見が挙がりました。

このワークショップにおいて気づきが共有され、参加者それぞれがエプソンの障がい者活躍を推進するための一歩が提示された場となりました。

障がいの有無にかかわらず一人ひとりが活躍する環境づくり

人的資本・健康経営本部長の阿部さん

エプソンが目指す「障がいの有無にかかわらず、個々の役割に応じたステップで挑戦し成長し続けることで、成果創出に貢献している状態」、その実現に向けた思い、そして取り組みを伺いました。

―このワークショップを開催した背景を教えてください。

これまで、社内報やe-ラーニング等を活用し「障がい」や「エプソンの障がい者活躍」について知る機会の提供など風土醸成のための活動を主に行ってきました。しかし採用や活躍の場を実際に拡大していくためには、各組織におけるキーマンの理解や協力は必須です。

現場対応しているキーマンの生の声を聞くのはもちろんのこと、エプソンの障がい者活躍についてオープンに議論をする場を先ずは持ちたいと考えていました。

―障がい者活躍を進める上で現状抱えている課題は何ですか?

グループにおいて特例子会社以外は、障がいのある方と共に働く機会が少なく、漠然とした不安を感じたり、障がいに対するバイアスをもってしまっている従業員が多いことがアンケート結果から見えてきました。特に、社会課題としても取り上げられているように、精神障がいがある方が増えることに対して企業としてどのように向き合うのか議論を重ねている段階で、2024年度より、障がいのある大学生の就労体験を開始、障がいに対する理解を深める機会づくりからスタートしています。

―今後どのような取り組みを行っていきますか?

2030年度実雇用率3.0%を目標に掲げ、グループ全体でインクルーシブな障がい者活躍の実現を目指しています。

具体的には、共に働く意義の再認識を通した採用や活躍のための仕組みづくり、また特例子会社におけるオフィス補助業務を中心とした新規業務開拓により、働きかたの選択肢拡大を検討していきます。並行して、各種情報発信や接点作りにも引き続き注力し、障がいへの適切な理解を通して多様な方々が活躍できる風土醸成にも取り組みます。

―長野県を代表する企業としての障がい者活躍推進を意識することはありますか?

その意識は強く持っています。

40年あまりの歴史がある特例子会社をもつ強みを生かし、そのノウハウをエプソングループの中で展開するだけではなく、その活動を社外にも積極的に開示していきます。

他社や地域とも協力し合うことで、障がい者活躍を共に進められるのではないかと思います。そしてその活動をリードすることが、我々の果たす役割と考えています。

(インタビュー)

セイコーエプソン株式会社 DE&I戦略推進部 
部長 根村絵美子さん・アシスタントマネージャー 赤羽香代さん

企業情報

セイコーエプソン株式会社 本社

〒 392-8502 長野県諏訪市大和 3-3-5

TEL :0266-52-3131(代表)

URL:https://corporate.epson/ja

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