Windows10がネットにつながらない!と高速スタートアップの関係

Windows10がネットにつながらない!と高速スタートアップの関係

 

こんにちは。

今回は直近で遭遇したWindows10に関するトラブルについて。
どうやら WindowsUpdate高速スタートアップ の弊害があったようで・・・

 

Windows10がインターネットに繋がらない

ことの発端は「インターネットが繋がらなくなっちゃった」というお客様からのお問い合わせ。

早速訪問し、確認をするとお客様のPCでは「インターネットアクセスなし」の状態。

 

 

IPアドレスを確認すると「169.254.xxx.xxx」の自己割当IPの状態。

ネットワーク機器の障害かと思い回線及び経由機器を確認するも、いずれも動作に問題はない模様。

 

お客様の環境はDHCPでのIPアドレス自動取得であったため

ipconfig /release
ipconfig /renew

でIPアドレスの取り直しをしてみると正常なアドレスを取得、インターネット接続の回復を確認。

ならば一時的な障害かとお思いPCを「シャットダウン -> 起動」するも高確率で再発。

 

でもIPアドレスの再取得をすると正常通信する。

 

んんん?

 

シャットダウン後、バッテリを外して簡易放電を実施しても改善せず。

各種ログを確認も怪しげな記録は無し。

Windows10非対応(メーカー動作非確認モデル)のうえでWindows10にアップグレードされていた(もとはWindows7)ものであったためそのせいかとも思いましたが、ご入電前日まで問題なく通信できていたことを鑑み、直接の関係は薄そう。

PC側NICの物理障害の可能性も鑑み、メーカー問い合わせを含め現象及び情報確認のために一旦退出。
その間当該PCには上記コマンドのバッチファイルを作成し、インターネット接続しない場合はバッチファイルを実行して頂くようお願い。
メーカーが何か情報を持っているかも、と問い合わせをしようとしていたところ・・・

 

別のお客様からも同現象のお問合わせが

ちょうどそのタイミングで別のお客様からも「インターネットが繋がらなくなっちゃたんだけど。」というお問い合わせが。

 

おや・・・?

 

なんか同じようなお問い合わせ。

よもやと思い弊社内のWindows10のPCを確認するとやはり同現象が発生している機種が。昨日までは何もなかったはず・・・?

 

これはなにかあるのでは、と調べているとこんな記事を発見。

windows10で最近ネットがつながらなくなったら、まず放電を試すべき : パソコンりかばり堂本舗

(パソコンりかばり堂本舗様 素早い情報発信、本当にありがとうございます。)

 

当該記事の情報と照らし合わせてみても見てもお客様が「繋がらなくなった」と仰っている日付と一致するためおそらく同現象だと思われます。
でも簡易放電したんだけどな・・・?

 

いやまてよ、

 

一時的な障害かとお思いPCを「シャットダウン -> 起動」するも高確率で再発。 (当記事内 上記)

 

・・・。

 

PCを「 (通常) シャットダウン -> 起動」するも

 

oh…
さっきの私の作業だと 完全シャットダウンしてない じゃん。

 

Windows10と完全シャットダウン

この挙動の一因は 「高速スタートアップ」 という機能。

Windows8と10では起動時間の短縮のため、初期状態では 「高速スタートアップ」 という挙動をするようになりました。

この高速スタートアップ機能が「On」になっていると シャットダウン操作 (本体の電源ボタンを押したり、スタートメニューから「シャットダウン」を選択したり)をした時に直前のデバイスの状態のイメージを保存し、次回の電源投入時にはデバイスドライバの初期化を飛ばしてそのイメージを直接展開することで起動時間を早める、ということをやっているようです。

 

ざっくりいうと

  1. 1.「シャットダウン」が(物理ボタンないし画面アイコンなど)押される
  2. 2.アプリケーションがすべて終了される
  3. 3. ユーザーがログアウトされる
  4. 4. そこまでやってから休止状態になる(ハイバネートファイルが作成される)

ということをやっていて、次回電源投入時はユーザーログイン前の状態へ休止から復旧されるから完全シャットダウンよりは起動がはやい、ということらしい。
(参考 : Distinguishing Fast Startup from Wake-from-Hibernation : Microsoft)

 

この デバイスの状態のイメージを保存 という挙動が曲者。
今回のように完全シャットダウンがされないままだと更新が完全に適用されないことで悪影響が出る可能性があるということです。
そして HDD上に ハイバネーションファイルを作成するため、簡易放電だけ したり 高速スタートアップが有効の状態で通常シャットダウンだけ しても障害の発生したデバイスメージが再度読み込まれてしまうため改善が無かったのだと予測されます。

ちなみにシャットダウンではなく 「再起動」を選ぶと一度完全シャットダウンがかかり 再起動するという天邪鬼仕様。
また、「でもWindows10ってWindowsUpdate来ると勝手に再起動しなかったっけ?」と言う疑問があるのですが、今回確認したどのPCも 「アクティブ時間」 の設定が08:00 – 17:00に設定されており、お客様にご確認のところその アクティブ時間以内でPCの使用を終えシャットダウン されることが多かったそうです。

 

アクティブ時間 というのはWindowsUpdateによる自動的な再起動を指定時間だけ抑制する機能です。
「スタートボタン > 設定 > 更新とセキュリティ > WindowsUpdate > アクティブ時間の変更」から設定ができます。

 

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この機能も本来は便利(というか煩わしさが減る)なのですが高速スタートアップと併せて考えると厄介で、ユーザーとしては再起動をしているようなつもりでも完全なシャットダウンが行われず、かつ更新などの再起動の必要性についての通知を目にする頻度が減ることになります。

 

ちなみに 手動での完全シャットダウン は以下ので順で可能です。

  1. 1. スタートボタンを押す
  2. 2. スタートメニュー左下の電源マークを押す
  3. 3. Shiftキーを押しながら「再起動」を押す
  4. 4. 画面が暗転したあと青い背景の「オプションの選択」画面が表示される
  5. 5. 「PCの電源を切る」ボタンを押す

 

リンク先の記事でも書かれていますが、
「PCの起動時間なんてそんなに気にしないよ〜」
という方は 高速スタートアップ機能を止めて しまってもいいのかもしれませんね。

 

以下手順でできます。

  1. 1. 「コントロールパネルを開く」
  2. 2. 「システムとセキュリティ」を押す
  3. 3. 「電源ボタンの動作の変更」を押す
  4. 4. 「現在利用可能ではない設定を変更します」を押す
  5. 5. 「高速スタートアップを有効にする(推奨)」のチェックを外す
  6. 6. 「変更の保存」ボタンを押す

 

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解決

完全シャットダウンで解決する可能性は一度目の訪問でも予測できそうであったものの、やはりトラブル対応は基本に立ち返って考えなければいけませんね。

ということで、まず先に弊社の同現象PCで挙動を確認。
確認をすると連続稼働時間が29日とちょっと。
前回のWindowsUpdate配信の11/09から概ね1ヶ月程度。
確認のため通常シャットダウンを試すもやはり現象再現。
その状態で連続稼働時間を確認すると リセットされずに 加算されている。
連続稼働時間(完全シャットダウンされていない時間)は「タスクマネージャーの「パフォーマンス」タブで確認できます。

 

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そして改めて完全シャットダウン実施。

その後再起動をすると・・・

よし、直ってる。

ちゃんとIPアドレスの自動取得されインターネットも正常疎通。
連続稼働時間もリセットされています。

複数回起動をしても現象の再現なし。

 

なるほど。
状況が見えてきた感じ。
念のため再度完全シャットダウンした上で簡易放電も実施。

その上で上記2件のお客様を各訪問させて頂くとやはり

  • 連続稼働時間がいずれも33日前後
  • 完全シャットダウン -> 起動で改善

でした。

 

念のため簡易放電も実施。

 

起動時間の条件が似通っているため、おそらく障害発生の最低要件としては

  • OSがWindows10
  • 2016/11/09 のWindowsUpdate以後、30日前後完全シャットダウンしていない

って事になりそうです。
他にも要素がありそうですが。

 

そんなに急いでPCを使ってないという方は拘束スタートアップを切ってしまったほうがややこしくないかもしれませんね。

 

最後に

ユーザーがPCを使う上での 「煩わしさの軽減」「セキュリティリスクの軽減」 はどうしてもトレードオフになってしまいますね。
OS上で動いているアプリケーションの違って、OS本体の更新はどうしても全体をPCごと再起動しなければいけないため面倒ですが、セキュリティホールや不具合などのトラブルを防ぐためだと思って、タイミングをみて 再起動するように心がけましょう

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